フィールドサーバは、圃場(田んぼ)に設置し、各種センサデータを得る機械の名称です。
実際の機器は以下の画像の通りです。
フィールドサーバの構成
2016年度版は、Raspberry Pi3 Model B及びArduinoによって構成されています。
フィールドサーバに設置するセンサー類 一覧
- カメラ
- 水位センサ
- 気温センサ
- 湿度センサ
- 土壌温度センサ
- 土壌水分度センサ
フィールドサーバに搭載するネットワーク機器 一覧
- 3G回線(Cloudアップロード用)
- LoRa(親機-フィールドサーバ間 通信用)
フィールドサーバ開発の難しさ・楽しさ
・消費電力面
フィールドサーバは圃場(田んぼ)に設置するため、コンセントから電源を得ることができません。
そのためモバイルバッテリーを搭載していますが、2016年度版では電力消費量が多いため約2週間に1度、
交換の必要があります。
今後は、電池交換をせず6か月もたせることを目標としています。
(田植えから稲刈りまでの間、電池交換が不要を目標)
現状の省電力化への取り組みとしては、PICマイコンによる電源ON-OFF回路を開発し、
1時間のうち5分だけ電源供給がされる仕組みとなっています。
さらに省電力化するため、Raspberry Piを廃止し、
Arduino単体やAVRマイコン単体で動作させる予定です。
【制約1】 消費電力が大きいため、モバイルバッテリーに搭載されている太陽光発電では足りない。
【制約2】 コードが農機具に引っかかるため、大きなバッテリーを地面に置くことができない。
【制約3】 電波塔の役割も果たすため、1mの高さに設置する必要がある。重さによる転倒防止のため
フィールドサーバ筐体内に重たいバッテリを詰め込むことができない。
・ネットワーク構築 通信距離面
3G回線を使い、カメラやセンサから得られたデータをクラウドにアップロードしています。
しかし、管理する田んぼの枚数が増えると、その数だけ3G回線の契約も必要となります(維持費用増加)。
そのため、フィールドサーバ間で無料のローカルネットワークを構築しようとしています。
(唯一3G回線を利用できる親機がセンサデータを集約することで、
3G回線の契約を1台分だけに抑えることができる)
上図は実際の田んぼと田んぼの距離を表しています。
この距離では、WiFiやBluetoothで通信を行うことは到底不可能です。
そのため通信規格ZigBee、Wi-SUN、LoRa等で、上図の様な通信テストを行い、
通信規格LoRaだと6km通信が可能だと判明しました。
しかし長距離通信が可能な代わりに、田んぼの写真1枚(56KB)を転送するために36分かかって
しまう問題が発生しました。
フィールドサーバは1時間に5分間だけ電源がONになるため、送信しきれません。
そこで今後は、通信方法の改善、通信モジュールの最適設定の調査、
低処理能力のArduinoで画像差分処理を行い、転送データ量を削減する方法の
研究・開発を目標としています。
【補足】低画質の画像を撮り、クラウド上で補完する等、別の手段の検討も行います。
・ネットワーク構築 ルーティング面
フィールドサーバ間の距離は数百メートルから数キロに渡っています。
その上、田んぼと田んぼの間には建物があり、車も通ります。
また雨が降ることによって電波は減衰してしまします。
このような環境下では、今まで繋がっていたネットワークが途絶えることが多々あります。
例えば下図のようにPとE、F、Gの通信が降雨のために途絶えたとします。
そうなった場合には、現状届いているDを中継器として利用し、E・F・Gとの
通信の回復を行います。
人間から見るとE・F・Gとの通信が途絶えた際に、「Dが中間にあるから、中継器として適切だ」と
瞬時に判断できますが、プログラムで処理を行うと非常に複雑になります。
また通信速度は前述の通り低速であることや、1時間に5分間だけ電源がONになるため、
ルーティングテーブルを作成するための通信も最小限に抑える必要があります。
そこで今後は、フィールドサーバに最適のルーティングプロトコルの
設計を目標としています。
【制約1】汎用的なフィールドサーバを開発するため、位置情報の書き込みは望ましくない。
【問題1】ルーティングプロトコルに問題があると、ルーティングループも発生してしまう。
・セキュリティ面
フィールドサーバが盗難にあった際に、内部を解析されることによってサーバ上の
データを不正に操作される可能性があります。
またフィールドサーバ間のローカルネットワーク通信の傍受や妨害が発生する可能性もあります。
これらの問題を解決するため、今後はセキュリティ面の対策が施されている
フィールドサーバの研究・開発を目標としています。
※上記の様に、今後研究・開発するべき箇所が多数あります。
Project One!に参加して、担当してくださる方を募集しています!